次なるブームはプロダクティブ・エイジング。プロだからこそいち早く知りたいNMNのこと
NMN(ニコチンアミドモノヌクレチド)がまた脚光を浴びています。美容業界の皆さんは、「サーチュイン遺伝子で盛り上がった時」といえば「ああ、あの頃か」と思い出すかもしれません。
一時期、美容皮膚科にもNMN注射や点滴のメニューや施術がありましたが、今ではあまりみなくなってしまいました。それは、NMNの研究がさらに進んできたからなのです。
NMNとは
NMNはビタミンB3に含まれるもので、あらゆる生物の細胞の中に存在しています。ヒトの体内でも自然に生成される物質ですが、加齢に伴って生成能力が減少するので修復機能に影響が出てきます。NMNは、全ての長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)に作用するとも言われており、世界中で研究が進んでいます。
2015年にワシントン大学の教授・今井眞一郎氏が、マウス実験で糖尿病に劇的な治療効果を上げ話題になったのは記憶に新しいところ。
今井氏の臨床実験では、水にまぜたNMNを寿命約2年のマウスに1年間、経口投与をしました。結果、オスのマウスは老化による体重の増加がなく、容貌の若返り(毛が太くて明るく)が起こり、平均寿命は2ヶ月間(人類の6年程度の寿命に相当)から4.6ヶ月まで延びるという結果が出ました。NMNを投与していないマウス群は、食が細くなり体重が増加するという「中年太り」に似た経過をたどりました(老化ってマウスもヒトも同じなのですね)。痩身の施術をしている方々は「それって代謝が落ちてるってことよね」とピンときたかもしれません。
実はそのとおりで、エネルギー代謝の観察では、NMNマウスは食事量が減ることなく体重キープ又は減少しており、酸素消費量が増えて脂肪酸を燃やしてエネルギーを得ていました。しかも、NMNのこの効果は、若いマウスにはほとんど効果がなく、体内でNME生成が難しくなった年齢のマウスに効果が発揮されるという、まさに代謝機能の低下だったわけです。
今井氏は、オリエンタル酵母工業株式会社と慶應義塾大学で商品化に向けた研究を続けており、2020年1月に慶應義塾大学医学部内科学から「世界初 抗老化候補物質NMNを、ヒトに安全に投与できることが明らかに」という研究発表が出されました。これまでもNMNが配合されたサプリは世界中で出回っていましたが、今後はコエンザイムQ10のような位置づけで市場に出回っていくと考えられますね。長寿や永遠の若さは全人類の目標ですから。
健康と美しさを追い求める美容業界にも、そのブームがやってくること間違いないでしょう。現に、ちょこちょこ出だしています。プロは、今のうちから「どんな原料を使った商品か」を正しく見極める目を養っておくべきです。
国内では大手企業が商品化に向けてコンソーシアムを設立
2019年11月に明治HD、島津製作所、帝⼈、帝人のヘルスケア分野のグループ会社である NOMON 株式会社、オリエンタル酵⺟を幹事会社として「プロダクティブ・エイジング コンソーシアム」を設⽴、NMNの商品化に向けて動き出しています。プロダクティブ・エイジングとは、1975 年に Robert N. Butler ILC 米国センター理事⾧が、「高齢者を社会の弱者や差別の対象として捉えるのではなく、 すべての人が老いてこそますます社会にとって必要な存在としてあり続けること」と提唱した概念ですが、このコンソーシアムでは、「すべての人が、 自分を取り巻く様々なことに可能な限り繋がりながら歳を重ねることで、自分らしい人生を全うしていくこと」と定義し、高齢者に限らず全年齢に適応する概念としています。
インナーケアからコスメまで。話題のNMN製品
NADaltus(ナダルタス)
帝人のヘルスケア部門から生まれたMONONが販売するサプリメント NADaltus(ナダルタス)は、1粒に125 ㎎もの高純度NMNを配合しています。「いつ、どこで、誰によってつくられたのか?」というトレーサビリティーを大切にしており、NMN原料調達から製造、販売まで追跡を可能にしています。もちろん、NMN原料から最終製品に至るまでのすべての工程を日本国内で製造。NMN原料はISO9001認証を取得した食品工場で製造され、製剤化は機能性表示食品を多く製造し、cGMP認証を取得した工場(三生医薬株式会社)で行っています。プロアスリートも安心して服用できるアンチ・ドーピング認証もいち早く取得しました。
明治製薬 NMNシリーズ
明治製薬は、NMNの配合量が違う3つのタイプを販売中。販売は、株式会社ラッキー。
NMNを原料から調達、独自の検査を(純度測定で99%以上をクリアする原料のみを使用)パスした高品質な原料のみを使用しています。製造ロットごとに品質確認を行い、とにかく品質管理を徹底。1本ずつ贅沢に凝縮して製造するという徹底ぶりです。
生の泉(せいのせん)NMNピュア9000
世界中で研究が行われているため、NMNは中国でも作られています。中国で製造されたNMNを日本国内で再精製しているのが、日本総合医療製薬株式会社が発売する生の泉(せいのせん)NMNピュア9000。
純度99%以上のNMNを配合し、1ヶ月9,000mgとしては破格の39,800円を実現。創業103年の企業とのコラボレーションにより誕生、国内で製造しています。中国や米国の富裕層に人気があるということは、日本でも需要が伸びるということで発売に漕ぎつけた商品のようです。インナーケアの他に、NMNとフラーレンを配合したシートマスクもあります。
NatuoreRecover ナチュレリカバー
NMNを使用したコスメブランド「NatuoreRecover ナチュレリカバー」。製造・販売は、株式会社IDEA。ヒト幹細胞培養液コスメ『DEAGAIA』の販売元です。販売チャネルは自社EC、代理店を介しての美容クリニック販売、一部バラエティショップなど。サロン導入ももちろん可能。気になるサロンは問い合わせてみては。
防腐剤完全無添加+4つの無添加を実現、国産化粧品。ディープセラムの前にブースターとして使う軽い使用感のセラム。
3種のヒト型セラミド+新型セラミド、低分子コラーゲン、スクワラン、ヒト脂肪由来幹細胞培養液、NMNを配合。高浸透型電子水で肌の奥(角質層まで)入れ込む。セラムだが、導入の化粧水のあとにつかうことで乳液のようにしっとりと肌をおちつかせる効果がある。
Text :yuni nojima