「アスリートこそ爪のメンテナンスが必要」ネイルの新しい活動分野を切り開くアスリートのためのネイル講座レポ
サロンにいらっしゃる方で、爪がボロボロの方がいる。聞くと、スポーツをしているそう。なにか手助けはできないか・・・こんな声がセラピストから寄せられました。手の爪が1本亀裂が入っただけで、日常生活が憂鬱になります。過酷なトレーニングを重ねるアスリートは、もっと深刻なはず。競技のための手指、地面を掴む足、爪の状態がいいか悪いかで大きく変わってくるため、ネイルトレーナーというおしゃれネイルとは違ったスペシャリストがいることを発見、早速取材に行ってきました。
アスリートのための爪のケアを専門に行うネイル団体
今回は、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会の日本支部、NESTA JAPAN主催「NESTAパーソナルトレーナーズサマーセッション2019」にて行われた一般社団法人アスリートネイル協会(以下、協会)の講座にお邪魔しました。会場に集ったのは、プロのスポーツトレーナーの方々。ジェルネイルをされている方は1名だけで、その他の方々はネイルケア初体験の様子。
まず、「アメリカと日本ではネイルに対する意識が違う」というところからスタート。
アメリカではネイルはケアが主流ですが、日本だとアートが主流。ネイルケアは爪の機能を助けるものでおしゃれのためだけではないこと、協会ではスポーツをするすべての人のために、手指と足のネイルすべての予防ケアとアフターケアをしており、ネイルケアの啓蒙活動や製品の開発もしていると説明がありました。
さらに、基本的な爪の機能とメカニズム、起こりやすい悩みなどの説明が一通りあり、爪の状態は競技パフォーマンスにも関係してくること、丈夫な爪を作るためには食事や睡眠も関係することを図や実験などで解説されました。
知っているようで知らないことも多く、皆さん熱心に聞き入る姿が多く見受けられました。
はじめてネイルファイルを使う人も!意外と知らない爪の正しいケア方法
そして、「爪は適度な長さに整えなければならない」「爪にも保湿が大切」「ケアは正しい切り方とケア方法がある」という本筋に。
「基本的には、適切な長さをキープすることと、保湿が大切。長さ調整にはネイルファイル(爪やすり)を、保湿には爪専用の保湿剤を使用してください」とアナウンスがあり、では実際にネイルファイルを使ってみましょうということに。資料と一緒に小さなファイルも配られているので、皆さんおそるおそる爪に当ててみるという感じでした。
協会正会員のネイルトレーナー3名が会場内をまわり、一人ひとり丁寧に説明。「すみません、先程ダメだとご説明があった深爪に今朝してしまいました」「毎日使ったらファイルはどれくらいの期間使えるの?水洗いしていいの?」など、さまざまな質問が行き交っている様子は、本当に爪って身近なのに意外と知らない・気にしない器官なんだなと再認識しました。
爪が健康になるとパフォーマンスの向上にもつながる
協会の活動報告のなかで、アスリートの爪トラブルがいくつか紹介されました。
高校野球の生徒さんの手の爪は縦横いろいろなところから亀裂が入り、足は内出血が起こって真っ黒に。
ネイルトレーナーのケアにより、適切な長さに整えて保湿をすることで亀裂は回避することができ、足の指の長さに合った靴を履くことで内出血も防ぐことができたそうです。
足の指は、人差し指がいちばん長い人、親指が一番長い人、全部の指が真っ直ぐに同じ人の3パターンあって、それで靴の形を変えなくてはならないのです。これは日常でも言えることですね!
マラソン選手は内出血すると不衛生な状態で爪を剥がしてしまう方も多いそうで、「内出血しても血抜きした後は絶対に放置しないでください」と警告がありました。
パラリンピックの競泳選手(視覚障害)は、硬いプラスティックのコースロープを伝って泳ぐせいで手爪はボロボロ、足もターンをするときに強い力で蹴り込むため、こちらもボロボロ。しかし、ネイルトレーナーによる施術を続けることで、爪のピンクの部分が大きくなり、健康な爪に回復、パフォーマンスが向上してメダルを獲得するまでになったそうです。
爪って本当にスポーツ選手にとって大切なんですね。
熱心にテキストを読む参加者
プロこそ、困ったときはネイルトレーナーを頼ってほしい!
プロスポーツでは、日本でも少しづつネイルトレーナーの存在を頼る選手・団体が増えているようです。協会は、プロ野球とプロサッカーの春季キャンプでネイルケアを行っているそう。
興味深かったのが、日本コアコンディショニング協会の副会長を務める日暮 清氏の例。自身が現役の頃、スパイクで足を踏まれて爪が正常に生えてこなくなったそう。そこでネイルトレーナーを頼りメンテナンスをしたところ、良い状態に回復。パフォーマンスも向上し、爪の大切さを実感したそうです。その後、ご自身でもアスリートネイルの技術を習得し、現在は横浜マリノスのトレーナーとしても活動しているそうです。
このとっても素晴らしいエピソードは、参加者のスポーツトレーナーの方々も大いに参考になったのではないでしょうか。
最後に協会が監修した補強材や保湿ケア商品などが紹介され、「オイルは爪の根元に使うもの。このエッセンスは爪の裏側に垂らしてそのまま垂直に保つと、先端の爪と肉の接着部分と根元にもしっかり行き渡る」と具体的な使用方法も解説されました。
「バスケットボールの選手は、シュートするときにボールを両手で持つことが多い。なので、コントロールのために人差し指の爪は少し長めがいい、とおっしゃる方もいる。ポジションによって長さ出しや補強が必要な場合もある」ということで、ネイルテープの紹介もありました。
たかが爪、されど爪。やはり専門家のレクチャーや資格が必要な分野
東京オリンピック・パラリンピックを控え、さまざまな運動や健康法としてスポーツやトレーニングをする人が増えています。「足を踏まれてから股関節が痛い」というサッカー選手は、足の爪からバイキンが入り、股関節のリンパに到達したために炎症がおきていた、という例もあるようなので、スポーツ選手や愛好者を支えたい、というセラピストやエステティシャン、ネイリストは、一度協会の講座を受講してみることをおすすめします。
講座を行ったネイルトレーナーの方々。全員ネイルサロンを経営するネイリスト兼ネイルトレーナー
他店との差別化はもちろん、子どものサッカーチームやミニバスなどのサポートもできるので、地域・社会貢献にもつながる活動が、ネイルトレーナーの役割です。
エステやトリートメントは美容から健康にシフトした時代だからこそ、注目すべき技術だと思います!
取材・文 yuni nojima
協力:一般社団法人アスリートネイル協会
NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)
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