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神経が肌の弾力に関与、植物由来成分フィトコネクトが神経細胞を活性化を資生堂が発見

資生堂が2つの研究結果を発表

資生堂が2つの研究結果を「Society for Neuroscience(北米神経科学会)」(2019/10/19-23)および「日本研究皮膚科学会」(2019/11/8-10)で発表した。

 

1.  真皮深層※1 を含む肌奥深くの神経線維を3次元で可視化する独自技術(特許出願済み)を確立し、肌に存在する神経線維が加齢と共に減少する。そして、感覚神経細胞※2 から放出される成分が、肌の弾力に関わる線維芽細胞のコラーゲン産生を促す。

2.  シソ科植物由来成分フィトコネクト(Phytoconnect)が感覚神経細胞を活性化することで、線維芽細胞のコラーゲン産生をさらに促進する効果がある。

 

本研究では、神経をケアすることでハリのある肌へ導くことができるという新しいスキンケアの可能性を示すことができ、今後は本知見を当社のスキンケア製品の開発に応用していくという。

※1:約2mm:人の皮膚は表面から順に表皮・真皮・皮下組織で構成されており、年齢や部位により差はあるが、一般に表皮は約0.2mm、真皮は約2mmの厚さといわれている。

※2:人の神経系には、脳や脊髄などのように命令や判断を司る「中枢神経系」と、体の隅々に行き渡る「末梢神経系」に分類される。モノに触れたときの感触など外からの刺激を脳へ伝える役割をもつ「感覚神経」は、末梢神経系の1種。

18歳と50歳の比較

肌奥深くの神経線維の3次元可視化画像。 神経線維は加齢によって減少し、密度が有意に下がる

神経線維の3次元可視化技術

資生堂は、神経と肌の関係性、特に表皮に着目した研究に取り組んできたが、従来の方法だけでは観察できる範囲や精度に限界があり、肌奥深くにある神経線維の複雑なネットワーク構造を十分に理解することはできなかった。そこで、2018年に開発した、組織透明化を用いて肌内部の毛細血管を広い視野で3次元的に可視化する独自技術を応用し、真皮深層を含む肌奥深くの神経線維を3次元で可視化することに初めて成功(特許出願済み)。本技術を用いて、深さ約2mmまでの広い範囲を鮮明に観察したことで、加齢により肌内部の神経線維が減少し、密度が有意に低下することを発見した。この結果より、神経と肌の弾力の間には関係性があるとみて、研究を進めてきた。

 

感覚神経細胞と肌のコラーゲン産生の関係性

人の肌における神経の役割を解明するために、ヒトiPS由来感覚神経細胞※3 を用いて研究を行った。人の肌に存在する様々な細胞との関係性を調べた結果、ヒトiPS由来感覚神経細胞から放出された成分が真皮を構成する細胞の1つである線維芽細胞のコラーゲン産生を促すことを見出。

※3:神経の細胞は増殖しないため、細胞を用いた研究には制限があった。しかしヒトiPS由来の感覚神経細胞を用いた最先端の研究手法を取り入れることで、人の体で起こっている現象をより正確に検証できるようになった。

 

ヒトiPS由来感覚神経細胞とヒトiPS由来感覚神経細胞から放出された成分によるコラーゲン産生作用

左図、ヒトiPS由来感覚神経細胞。右図、ヒトiPS由来感覚神経細胞から放出された成分によるコラーゲン産生作用

感覚神経細胞を活性化する薬剤の探索

感覚神経細胞が活性化すると放出成分量が増加することに着目し、感覚神経細胞を活性化する薬剤の探索を行った。その結果、シソ科植物由来成分フィトコネクトが、感覚神経に発現するTRP受容体※4 のうち3種(TRPA1、TRPM8、TRPV1)に同時に作用して細胞を活性化することを見出すに至った。活性化されたヒトiPS由来神経細胞が放出する成分によって、線維芽細胞のコラーゲン産生量がさらに上昇することも明らかにした。

※4:TRP(Transient Receptor Potential)受容体:温度を感知する生体センサーとして知られているが、近年は温度だけでなく、その他多くの化学的/物理的刺激も感知することがわかっている。

シソ科植物由来成分フィトコネクトによるコラーゲン産生促進効果

シソ科植物由来成分フィトコネクトによるコラーゲン産生促進効果

 

【参考資料】

2018年:資生堂、シミの肌内部における血管構造異常の3D可視化に成功

https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002498&rt_pr=trf04

 

 

text :yuni nojima

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