【プロ向け】国民生活センターが調べた銘柄全部公開!ヤバいまつ毛美容液
2019年8月8日に国民生活センターが公表した「まつげ美容液に対する苦情や相談が急増」という事実。いまや当たり前に毎日のお手入れアイテムの仲間入りを果たしているコスメなだけに、驚く声もたくさん出ただろう。「目の周りが腫れる」「眼科医で角膜潰瘍の診断を受けた」という事例も寄せられているという。
まつ毛美容液に関する苦情は2015年ごろから徐々に増え始め、昨年の2018年がピーク。ネット上のショッピングモールを調べたところ、まつ毛に安心して使用できない成分を配合する商品が次々に発見された。
まつ毛美容液は「化粧品」であり「医薬部外品」ではない事実
そもそも化粧品と医薬部外品の違いはご存知だろうか。簡単に説明すると、化粧品は毛が伸びる・生える等の効果や効能をうたえないうたえないことになっている。これは、医薬品等適正広告基準が機能しているため。毛髪にはり、こし、つやを与える等の効能はOK。要するに、今の毛の見た目を良くすることができるのが化粧品、ということ。
医薬部外品は化粧品のワンランク上にいるもので、その名の通り医薬品に近い効果や効能が認められている。たとえば、育毛剤(養毛剤)は、脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤として、育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛の効能効果について承認を受けている。
要するに、「毛が生える」的な表現ができるのは、医薬部外品のみ。化粧品のまつ毛美容液にはその機能も根拠もない、ということになる。そして、医薬部外品として認められているまつ毛美容液やクリームなどは、現在存在しないのが事実なのだ。
でも「使ってきたら伸びてきた」声も。それはなぜ?
今回の調査で明らかになったのは、配合成分に問題があるということ。
オタネニンジン根エキス、ナツメ果実エキス、センブリエキスなど様々な植物由来の成分が表示されており、そのうち、一部の銘柄にはエタノールなどのアルコール類が成分として使用されていた。植物由来と聞くと安心と思ってしまいがちだが、植物由来の成分やエタノールなどのアルコール類は、使用部位によっては刺激・アレルギー反応を起こしやすいので、実は注意が必要な成分だ。今回行った調査ですべての製品に表示が認められているため、プロの方々には知っておいてほしい情報だ。
また、頭髪用の医薬部外品の育毛剤がまつ毛カテゴリで販売されており、まつ毛に使えるようなマスカラ状の形状に近いものに容器を変更して販売をしていた。頭皮用の医薬部外品を皮膚の薄い目元に使うという、考えただけでもトラブル必至!というような事実があったのだ。
定期購入などを推奨する製品も多々あるため、トラブルが発生しても解約ができない、といったことも問題視されている。
国民生活センターは、専門家の意見として、東邦大学医療センター大森病院 皮膚科臨床教授 関東裕美氏の見解も公開している。
顔や頭皮の部位によって皮膚の構造は大きく異なります。特にまぶたなど、目の周りは皮膚が 薄く外界から物質が経皮吸収される率が最も高い部位となっています。また皮脂分泌能力は通常 年齢と共に減少し 40 歳代を過ぎると洗顔後の皮脂分泌回復力が衰えてきます。特に秋から春にか けて乾燥する時期は刺激等の影響を受けやすく眼周囲のトラブルが多くなるようです。そのため、 多くの成分が含まれる医薬部外品の育毛剤や化粧品のまつ毛美容液を使用すると、使用者の体質 や、使用時期によっては、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等が生じるこ とがあります。特に、植物由来の成分やエタノールなどのアルコール類は、使用部位による刺激・ アレルギー反応を起こし易いと考えられます。
本来医薬部外品の育毛剤は、皮脂分泌が多い頭皮への使用を考慮して処方された商品と考えら れます。その育毛剤をまつ毛に使用することは本来の目的には合わないことです。まぶたは皮脂 分泌が欠乏し易い部位なので、頭皮とは皮膚の環境が大きく異なります。そのため、育毛剤をま つ毛に使用すると皮膚トラブルが起こる可能性が高いのです。まつ毛を対象に作られた美容液だ としても、まつ毛だけに美容液がつくわけではなく、周囲まぶたの皮膚は最も薄い皮膚ですから 容易に美容液が吸収されていきます。まつ毛美容液を使用して、まぶたの赤み、ほてり、かゆみ、 痛み、腫れ等が生じた場合は、皮膚科医を受診しましょう。もし目に入ってしまった場合には、 すぐに水などで洗い流すことが必要です。目に痛みや違和感があった場合は、眼科医を受診しましょう。
医薬部外品や化粧品は、使用する人の体質や体調、季節や年齢によって肌に合わないということがあり、また、誰にでも効能効果があるとは限らないので、慎重に自分にあった商品選びをしていくことが大切です。(全文)
当てはまりそうなお客様がいるアイリストやエステティシャンは、それとなくお客様にきいてみたほうがよさそうだ。
調査の概要
今回行われた調査は、ネットのショッピングモールで「まつ毛美容液」が分類されるカテゴリにおいて、売れ筋ランキングの高い商品、“発毛”、“育毛”、“養毛”及び“増毛”の検索ワードでヒットする確率の高い製品、「医薬部外品」あるいは「薬用」の表示が確認できた商品を20銘柄ピックアップ。製造者または販売者のウェブサイトで、商品本体、パッケージ及び取扱説明書等の表示を確認するといった内容(調査期間:2019年5月10日~7月23日)。
売れ筋やメジャーな製品を調べているので、もしかしたら使ったことや知っている製品があるかもしれない。さらに、あなたのお客様が使用しているかもしれない可能性が高いのだ。
また、相談が多い季節は11月から2月の乾燥が目立つ冬が6割を占めていたこと、年齢は40歳代~60歳代が全体の約8割を締めていたことなどを考えると、上で紹介した専門家のアドバイスが納得できるだろう。
ヴィーナス アイラッシュ薬用マイレー ベンLD /製造販売元 発売元;(株)ノムラ
アヴァンセ ラッシュセラムEX /製造販売元:ハリウッド(株) 発売元:アヴァンセ(株)
ヴィーナスビューティ薬用育毛ジェル /製造販売元:(株)プレイム 発売元:(株)キュアット
ノヴェルモイ薬用・育毛ミニエッセン ス/製造販売元:(株)ルチア
リーシェ ヘアグロウ リムサプライ育 毛剤A /製造販売元:(株)ルノン化学研究所
化粧品として販売されていたもの
Drリボーン パーフェクト アイラッ シュ エッセンス /製造販売元:(株)アイビーティジェイ 発売元:(株)Dr.リボーン
GFパワーラッシュ/製造販売元:(株)アメニティコーポレーション
SDBピュアフリーアイラッシュセラム SSC2 /製造販売元:アンファー(株)
エマーキット /製造販売元:(株)ウインド&ウェーブ 発売元:水橋保寿堂製薬(株)
マジョリカ マジョルカ ラッシュジェ リードロップ EX /製造販売元:(株)資生堂 発売元:資生堂フィティット(株)
アデノバイタル アイラッシュセラム /製造販売元:(株)資生堂 発売元:資生堂プロフェッショナル(株)
3Dアイラッシュセラム /製造販売元:(株)スターパック 発売元:(株)シーアール・ラボ
アイオーヴ エクストラ アイラッシュ トニック /(有)ナ・ムーン
スタイリングプロフェッショナル /製造販売元:(有)はまざき
エリザクイーン /製造販売元:(株)BCKG 発売元:(株)ビーボ
モンローウィンク /製造販売元:(株)BCKG 発売元:(株)プロヘルス
アイゾーンGR /製造販売元:(株)ミック・ケミストリー 発売元:癒本舗
ilare(アイラーレ) /製造販売元:メディコス製薬(株) 発売元:ITS合同会社
eyelaceed(アイラシード) /製造販売元:メディコス製薬(株) 発売元:(株)スリーズ
エターナルアイラッシュ /製造販売元:(株)ローヤルコーポレーション 発売元:(株)ハウワイ
お客様の目元をいちばん見ているのはアイリストやアイデザイナーの方々だと思うが、「最近目元が痒くて」など、トラブルをポロッと漏らす場は、エステやアロマ、ネイルの施術中も多いはず。また、店販としても定番化されているアイテムなだけに、自分のお店の製品は大丈夫か、どんな成分を含んでいるか、誇大広告はされていないかなどもチェックすべきところ。プロだからこそ、幅広い知識を持ってお客様の美しさのために貢献すべきと考え、今回銘柄の掲載をした。今後も続報があり次第取り上げていく。